
“犬と旅する”という今月のテーマに、まさに直球の本。アウトドア派のライターとして雑誌等で人気のシェルパ斎藤こと斎藤政喜氏が、
ゴールデンレトリーバーの牝犬、愛犬ニホを連れて、日本中をバックパックの旅に出る旅行記だ。

大阪で生後6ヵ月のニホと出会い、そのまま長野県の八ヶ岳まで連れて帰るという前代未聞の無謀(?)な旅なのだが…、生後6カ月の仔犬を連れてどうやって車もなしに八ヶ岳まで連れて帰るのか。
のっけから犬連れバックパッカーの面目躍如という事件の連続で、「えっ、こんなのアリ!?」と引き込まれる。

国道を歩くのが大変だから乳母車にニホを乗せて歩いたり、河原ではテントを張って野宿したり、むりやり(?)電車に乗せてもらったり、
あげくの果てに犬ごとヒッチハイクしたり…。ニホも大変だっただろうが、こんな計画をやり遂げた斎藤氏は本当にすごい。
でも、この本を読んでいて一番思ったのは、“日本っていい国なんだなぁ”ということ。
電車もタクシーも、本当はダメなのに大目に見てくれるし。ヒッチハイクも、よく乗せてくれたものだ。
斎藤氏の温かい人柄のせいなのか、はたまた愛らしいニホの存在のおかげなのか。たぶんどちらもなんだろうが、
わんこに対してやさしいまなざしをもって接してくれる人たちがこんなにいるなんて…(カンゲキ)。

まだまだ、腐ってないゾ、この国は。捨てたもんじゃあない。
八ヶ岳の自然でのびのび育ったニホは、“史上最長の散歩”を続けていく中で、読むほどにたくましく成長していく。
子どものまま大きくなってしまう人(&わんこ)もいる中で、「成長する」というのはどんなことなのか、教えられるはずだ。
それにしても、リーダー(飼い主)と一緒に旅をしてワクワクの毎日を送っていたニホは、つくづく幸せ者だなぁ。
著者もまた、ニホがいたからこそ苦難も楽しめたに違いない。