
髪の毛一本までキレイに再現しちゃうCGアニメ全盛の時代に、粘土細工の人形が観る人の心を和ませる、おなじみの「ウォレスとグルミット」シリーズの最新作。
昨年のクリスマスに本国のイギリスでテレビ放映された「ベーカリー街の悪夢」がDVDで登場だ。
アカデミー賞を4回も受賞しているほどのクレイアニメの第一人者、ニック・パーク監督だけど、ハリウッドアニメが描く「勇気」や「家族愛」といったものとはまたひと味違うところがとてもいい。
イギリス的なシニカルなユーモアがたっぷりで、毎回大人が観ても楽しめる(大人のほうが夢中?)エンターテインメントに仕上げるワザはさすがだ。

ヘンテコな発明家で万年青年のウォレスと彼の愛犬グルミットの凸凹コンビが、今回はなんとパン屋さんとして活躍する。
そこはニック監督、ひとつもふたつもひねってミステリー仕立てに。
ベイカー街(シャーロックホームズが住んでいたロンドンの街)ならぬベーカリー街(パン屋街?)で起こった、連続殺人事件にウォレスが巻き込まれてしまうのだ。
ウォレスの身に起こる“悪夢”の詳細は見てのお楽しみにしておくとして、わが【喫茶コロン】的には、能天気な主人、ウォレスを助ける愛犬グルミットの献身的な行動と豊かな表情に注目したい。
ウォレスの勘違いで、いつも大変な目に合うのはグルミットばかり、それを解決するのも彼なのだ。

今月の初めに紹介した、アメリカ出身のスヌーピーは自由奔放なキャラクターとして描かれていたが、
イギリス出身のグルミットはどうも“尽くす”タイプのようだ。
そんな視点から観賞してみるのもいいだろう。
あとはやっぱり、クレイアニメの魅力。一コマ一コマ、人形を少しずつ動かす気の遠くなるような作業で撮影され、1日に数秒分しかつくれないという。
だからこそシンプルな粘土人形に命が吹き込まれ、イキイキと動くこのアニメに世界中が喝采するのかもしれないね。

そんなメイキングの話も交えて、
ハラハラドキドキの傑作を家族や仲間と
楽しんでみてはいかがだろうか。