
イラストレーターの影山直美氏が自宅で飼っている2匹の芝犬との暮らしをかわいいイラストと楽しい文章で味付けしたコミックエッセイだ。

自分のわんこをテーマにした同類の書籍はたくさんあるけど、影山氏の作品が“ほっこり”するのは、変な誇張やギミックがないからだ。
「うちの子世界一」といった押し付け感や「こんなにヘンテコ」といった気負いがないのがとてもよろし。
どこの家でも経験する犬との暮らしを愛情たっぷりの目線でたんたんと描いている。
“そうそうあるある”とか、“影山さんちも大変なんだ”とかいったリアルな共感がこの作者の人気の秘密とみた。
最初に飼っていたゴンという8歳のオスの柴犬の元に、新たにもう一匹テツというかわいいオスの柴犬がやってくる。
いわゆる多頭飼いというやつだ。ゴンは草食系のんびり屋で、テツはキレ系暴れ犬というまったく異なる性格の持ち主。
そこで巻き起るさまざまなエピソードがこの本の読みどころ。

柴犬って子どもの頃は“天使”だけど、成長するにしたがって独立心の強い“一匹狼”に変身するんだよね。
特にオスはその傾向が強く、ゴンとテツもケンカのたえないライバル同士になっていく。
でも、ケンカしたあとに落ち込んだり、飼い主に甘えてきたり、オス犬ならではのかわいさも見せてくれる。
“2匹の柴犬に振り回される飼い主の喜び”と帯にある通り、予想不可能な事態が次々に出てくるのが多頭飼いの大変さでもあり、醍醐味なのかもしれない。
ゴンとテツの毎日にハラハラしながらも、読者もこの愛すべき2匹のトリコになっていく。

すでに犬を飼われている方も、これから犬を飼いたいと思っている方も、この本は笑いながら楽しめる多頭飼いのマニュアル本にもなっている。
犬の育児書にはないリアルな失敗談もたっぷり。それ以上に、2匹の柴犬を家族にした人にしか味わえない「幸せ」を、たくさん発見できるだろう。