
盲導犬や聴導犬の存在は「働く犬」として広く知られているが、犬の能力はそれだけでなはい。今月は、世界中のがんばるわんこたちを取り上げて、その可能性について考えてみたいと思う。
第1回目は、『働く犬たち』。世界にはこれほど人の役に立っている“働く犬たち”がいるのかとあらためて驚かされる本だ。ヘリから海に飛び込こみ人を救うイタリアの水難救助犬、フロリダで活躍するシロアリ探知のプロフェショナル犬、カナダで狼役として死闘を演じる俳優犬、アフリカでチーターやヒヒから命をかけて羊を守る牧羊犬…。

この本は、世界中で働く21頭のスペシャリストたちを取材したノンフィクション集だ。作者はカナダで有名なノンフィクション作家であるメアリー・ウェイズボードと実際にワーキング・ドッグの診療を行っている獣医師のキム・カチャノフの共著となっている。

獣医師が監修していることもあり、この本は単なる“スゴイ犬びっくり本”ではない。犬の習性や能力に関する解説もふんだんで、“スペシャル犬読本”としても楽しめる作りだ。
こういう本を読むと、それにひきかえウチのわんこは…とそばで居眠りする愛犬についため息をついてしまうかもしれないが、実はそうではない。
ここで登場する“スーパードッグ”たちは、みんな自分が働くことで飼い主が喜んでくれることが何より好きなだけだ。人が驚くような能力を発揮し仕事をしたごほうびが、テニスボールで遊ぶことだったり、チーズ味のおやつだったりする。
ここのところはあなたの愛犬と同じじゃあないだろうか。志とか使命とかではなく、ボスやリーダーの命令を聞き、ほめてもらうことが、本来犬の喜びなのだから。

あなたの愛犬もほめてあげれば、ズンズンと仕事をこなすスーパードッグにならないとも限らない。
えっ? もう遅い?そうですか。
いや、惰眠をむさぶっているフリをして、あなたの顔色をうかがっているのかも。飼い主が自分を見て癒されているのを確認して、お腹を出してみたりして。狼犬ばりの演技をして家族を喜ばそうと必死だったり。
まあ、そういう意味では犬はみんな人のために働いているワーキング・ドッグといえるかもしれないね。